2009年10月3日土曜日

UOB生保部門 日生などに買い取りを打診 国内生損保、海外市場で存在感

UOB生保部門 日生などに買い取りを打診 国内生損保、海外市場で存在感2009/10/2
印刷するブックマーク:.. シンガポールのUOB(ユナイテッド・オーバーシーズ・バンク)が傘下の生命保険会社UOBライフを売却する意向を固め、日本生命保険や三井住友海上火災保険などに買い取りを打診していたことが1日、複数の関係者の話で明らかになった。生保最大手の日本生命保険が先月、中国で販売網を拡大するなど、経営基盤の安定している国内生損保が国際的に存在感を発揮する事例が相次いでいる。

 UOBはシンガポールに本社を置き、アジアや欧米18カ国に拠点をもつ金融グループ。UOBライフはUOB傘下に1990年4月に設立された生命保険会社で、約14億ドル(2008年11月時点)の資産を持つ。

 関係者によると、UOBグループは、事業再編を進めるなかで生保部門を手放す判断をしたとみられ、今春に日本生命▽住友生命保険▽三井住友海上▽損害保険ジャパン-など、複数の日本の大手生損保に打診した。

 ただ、国内生損保各社は、すでに現地拠点をもっているなどの理由から買い取りを見送ったもようで、最終的に入札に進んだ会社はなかった。一方、ロイター通信によると、米保険大手のプルデンシャルや加保険最大手のマニュライフがUOBライフに関心を示している。

 UOBライフは、フジサンケイビジネスアイの取材に対し「市場のうわさ話にはコメントできない」としている。

 少子高齢化で国内市場が縮小傾向にある生損保業界では、大手損保はいち早く海外拠点を拡大する一方、多数の生保レディーを抱える大手生保は「ビジネスモデルが違う」として海外進出には比較的慎重だった。

 しかし生保最大手の日本生命は9月、中国農業銀行系の金融サービス会社と合弁で「長生人寿保険」を設立。これまで上海に限られていた販売網を一気に中国全土に広げる戦略に打って出た。日本生命はさらに、米金融大手プルデンシャル・グループの保険子会社に5億ドル(約460億円)の出資を発表した。業界関係者には日本生命が豊富な資金力を海外事業へ積極的に振り向ける姿勢に転換してきたとの見方が広がっている。

 UOBライフの入札には至らなかった日本の生損保幹部も「成長市場であるアジアの優良物件は常に探っている」と話す。世界的に不安定な金融環境が続く中、日本の生損保各社が安定した経営基盤を武器にアジアを中心とした国際競争に乗り出す動きが活発化しそうだ。(滝川麻衣子)

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