2009年10月3日土曜日

メガ損保 課題は融和

メガ損保 課題は融和
三井住友海上・あいおい・ニッセイ同和の3社が統合発表

 2010年4月の経営統合を目指す三井住友海上グループホールディングスとあいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社は30日、統合契約書を締結したと発表した。新グループ名は「MS&ADインシュアランスグループホールディングス」。だが、1月の統合表明から正式合意まで8か月もかかるなど、3社の融和と、意思決定のスピードアップが早くも課題として浮上している。(関根晃次郎、山内竜介)

 統合持ち株会社の社長に就任する三井住友海上の江頭敏明社長は記者会見し、「品質、成長率でも世界トップ水準に挑戦する環境が整った」と、3社統合の意義を強調した。

 3社の株主に割り当てる統合持ち株会社株の比率は、三井住友海上1株に対し1株、ニッセイ同和1株に対しては0・191株、あいおい1株には0・190株となっている。

 新グループは、三井住友海上の旧財閥系の強固な顧客基盤に加え、大株主であるトヨタ自動車と日本生命保険との連携も期待できる。正味収入保険料は約2兆6000億円と、国内首位の東京海上ホールディングスを上回る。「相互補完しシナジーを発揮できる」(ニッセイ同和の立山一郎社長)体制が整えば、国内市場での競争力強化が期待できる。さらに、14年までにシステム共通化などで約500億円のコスト削減を見込んでおり、収益力の向上を目指す考えだ。

 ただ、課題も多い。損保業界は、事故率の上昇と保険料収入の減少で、「規模を求めた統合はもはや時代遅れ」(関係者)との指摘も根強い。ライバル東京海上はすでに、「契約の量」より「事業の質」に軸足を移しており、「質の充実」を早急に迫られそうだ。

 統合持ち株会社は、江頭社長を含めた代表取締役4人の体制で、三井住友海上2人、ニッセイ同和とあいおいが各1人とするなど、3社のバランス維持に腐心している。

 ライバル関係にあった3社が、早期に融和できるかどうかが注目される。あいおいの児玉正之社長も「(統合作業には)スピード感が極めて重要」との認識で、グループとしての損保事業を協議する「戦略会議」を新設する。統合の結果生まれる投資余力の振り向け先や、新しい保険商品の開発など、スピード感のある意思決定を下せるかどうかが、統合会社の業績を大きく左右しそうだ。

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