2009年7月16日木曜日

低調続く損保各社 自動車離れ“構造不況”の重し

低調続く損保各社 自動車離れ“構造不況”の重し

2009/7/10


  東京海上ホールディングス(コード8766)、三井住友海上グループホールディングス(8725)、損害保険ジャパン(8755)など損保各社の株価が低 調だ。1月5日の終値を100として算出した大手3社の足元の株価指数はいずれも日経平均を下回り、100を大きく割り込んでいる。

 損害保険料率算出機構が7日、自動車保険の保険料算定の基準となる「参考純率」を、平均で5.7%引き上げると発表。これを受け損保各社は来 年、保険料を値上げする見通し。自動車保険は、売上高に相当する各社の保険料収入の約6割を占める主力商品で、値上げは業績底上げの追い風となることが期 待される。しかし市場の反応は冷ややかで、9日の取引も東京海上が前日比30円高の2495円、三井住友海上が前日と変わらず2320円、損保ジャパンが 19円安の572円とまちまちだった。

 さえない株価の背景には、少子高齢化や若者の自動車離れによる国内自動車保険の“構造不況”がある。大手損保6社の09年4~6月の自動車保険 保険料収入(速報値)の合計は、前年同期比1.4%減と不振が続いている。参考純率の引き上げ効果も、自動車保険市場全体の落ち込みの前では限定的と市場 はみているようだ。

 一方、M&A(企業の合併・買収)など再編による業務効率化や収益改善の取り組みに対しても、「効果を早期に生み出す必要がある」(アナリスト)と厳しい目が向けられている。

 東京海上はアジアや南米などの新興国に加え、欧米の企業も買収し世界規模で事業拡大を追求。三井住友海上もアジア・欧州・米州の3極持ち株会社 体制の下、海外開拓を積極化している。損保ジャパンもブラジルの中堅損保に出資するなど、各社とも再編後の活路を海外に求めている。

 M&Aで得た経営資源でいかに迅速に収益成果を示せるか。低迷する株価水準の本格的な反転の鍵は海外事業が握っており、その戦略の巧拙で今後の株価の明暗は分かれそうだ。

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【アナリストの一言】

 少子化を背景に国内の自動車保険や火災保険は先細りだ。海外戦略と生保戦略が今後の業績の鍵となってくる。三井住友海上を含む新グループの各社は特徴があり、相乗効果を出しやすく一歩リードとみえるが、生保戦略で大株主となる日本生命との調整が課題となる。

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