2009年7月16日木曜日

三井住友海上などメンタル商品強化 労災など企業の危機管理支援

三井住友海上などメンタル商品強化 労災など企業の危機管理支援

2009/7/1


  損保各社がメンタルヘルス関連のサービスを拡充している。三井住友海上火災保険は6月から、従業員が鬱病(うつびょう)など心の病で労災認定された際に、 企業にかかる費用負担を試算するサービスを始めた。他社も休職者の復帰支援や海外赴任世帯のメンタル面のケアなどを打ち出している。自動車保険など既存の 保険市場が縮小するなか、損保各社はメンタルヘルス関連に潜在需要があるとみて、新たな分野の開拓に力を入れている。

 三井住友海上はホームページ上で、メンタルヘルス損失コスト試算ツール「MOSIMO(もしも)」サービスの提供を始めた。長期休業者が出た場 合に発生する企業の損失コストを、該当者の年収や休職期間を入力することで、算出できる。メンタルヘルス対策で同社と全面提携している保健同人社(東京都 千代田区)との共同開発で、同社ホームページから無料で利用できる。

 三井住友海上は、従業員の心の病による長期休養や労災をめぐる訴訟対策として、長期障害所得補償保険や、使用者賠償責任保険を取り扱っている。態勢が整いつつある大手企業とは違い、整備の遅れている中小企業を主なターゲットに需要掘り起こしをはかりたい考えだ。

 精神疾患に関する労災申請が近年急増して年間900件を超えている。また、年間3万人を超える自殺者の原因も鬱病が最多で、多額の賠償訴訟に至る例もある。企業にとって社員のメンタルヘルス対策は危機管理の重要なテーマになっている。

 損害保険ジャパンは4月に、企業の海外駐在員とその同行家族への、メンタルヘルスサポートを新たに始めた。海外旅行保険加入者を対象に、無料で電話相談などを実施する。

 東京海上ホールディングスの子会社、東京海上日動メディカルサービスも4月に、鬱病など心の病で休職していた社員の職場復帰を支援する「復職あ んしんサポート」を開始。臨床心理士が専任カウンセラーとなり、休業者や職場の相談にのる。時間とコストをかけて育成してきた社員の離職は企業にとっても 大きな損失となるため「予防や治療からさらに踏み込んだ支援体制を整えた」という。

 長らく収益の柱だった自動車保険が少子高齢化や若者のクルマ離れで伸び悩む中、各社は今後ともヘルスケアや損害賠償保険など新分野に注力していくとみられる。(滝川麻衣子)

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