2009年8月12日水曜日

運用改善 損保5社が黒字 4~6月期 保険料収入は低調
2009/8/12



 大手損保6社の2009年4~6月期連結決算が11日、出そろった。金融市場の回復を受け、損害保険ジャパンを除く5社が最終黒字を確保した。損保ジャパンは、保険収益の悪化に資産運用の低迷が追い打ちをかけ、38億円の最終赤字だった。

 保有する金融派生商品の評価額が回復したり資産運用関連費用が減少するなど、5社は運用面の改善が、主な増益要因となった。大きな災害や事故が少なかったことで保険金の支払いが減少したこともプラスとなった。

 本業の売上高を示す正味収入保険料は自動車販売の不振で主力の自動車保険が落ち込み、東京海上ホールディングス(HD)をのぞく5社が減収となった。東京海上HDは、08年に買収した米保険会社の収益が今期から反映されたため、増収となった。 

 売り上げの半分近くを占める自動車保険は、最大手の東京海上HDが前年同期比1.7%減の2531億円、三井住友海上グループホールディングス(HD)で同2.2%減の1551億円、損保ジャパンが同1.8%減の1686億円と、軒並み減らした。

 一部で自動車販売に復調の兆しが見え始めているが「若者の自動車離れや市場縮小による保有台数減に歯止めはかかっていない」(三井住友海上HD)状況だ。貿易による荷動きも依然鈍く、船舶や貨物にかける海上保険は全社で2けた減と厳しい景気を反映した結果となった。

 金融派生商品などの運用改善で、保険料収入の減少をカバーしきれなかった損保ジャパンは、赤字から脱却できなかった。黒字を確保した社も、保有株式の利配収入が減少し商品の運用面では伸び悩んでいる。全体として金融危機の影響から「抜けきったとはいえない」(大手損保幹部)状況だ。

 通期見通しでは、全社が最終黒字を予想しているが、実体経済の先行きは不透明だ。今夏は大雨被害などが相次いでいる。不安定な天候が続けば、災害による保険金支払い増加の懸念も出てくるため、不確定要素となる。

 たとえ景気が本格回復したとしても、国内市場の縮小は免れず、10年4月には、大手6社は3つの損保グループに再編される。大手同士の統合と単独路線とで戦略は分かれるが、どこまで効率化を進め、成長軌道に乗ることができるか。海外市場での開拓がカギを握りそうだ。(滝川麻衣子)

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